間宮林蔵記念館の近くにあるひまわり畑を目指したものの、見事に3分咲き、おまけに霧雨というダブルパンチで撮影を断念することになりました。
まあ、こういうこともありますよね。
自然相手では人間の予定なんて、猫の気分くらい気まぐれなものです。
せっかく濡れたついでだし、と気持ちを切り替えて、そのまま下小目地区の田んぼアートへ向かうことにしました。
バイクを走らせていると、ヘルメットのシールドに雨粒が次々と打ち付け、視界がどんどん悪くなっていく……。
正直、心が折れかけましたが、なぜか服は不思議と濡れずに目的地まで到着。
空模様と私の運勢、どちらが勝っているのかよく分かりませんが、とりあえずラッキーということで進みましょう。

茨城県つくばみらい市の下小目地区に到着です。
ここには、毎年夏になると色とりどりの稲が巨大な絵を描き出す、地域の風物詩「田んぼアート」があるんです。
つくばエクスプレスの車窓からも見えるこのアートは、地元NPO法人「古瀬の自然と文化を守る会」の皆さんが21年もの間、大切に守り続けてきたもの。
昨年、「資金面で今年で最後かも」なんて話も聞いていたので、こうして無事に見ることができて本当に胸が熱くなりました。
地域の絆って、お米と同じでじっくり時間をかけて育つものなんですね。

今年の図柄は「ありがとう」と「たんぼう君」です。
2026年のデザインは、赤色の稲(ベニアソビ)で書かれた「ありがとう」の文字がとにかく力強い。そして白色の稲(ユキアソビ)を背景に、黒色の稲で描かれた「たんぼう君」が、まるで田んぼからひょっこり顔を出しているみたいで、見ているだけでニヤけてしまいます。

この「たんぼう君」、大きな目が特徴の可愛らしいキャラクターなんですが、よく見ると稲の穂のようなものを持っているんです。
職人技ですね、これ。
緑豊かな田んぼの中にくっきりと浮かび上がる姿は、展望台から見下ろすと全体の構図がパズルみたいに綺麗に収まっていて、思わず声が出そうでした。
この「ありがとう」という言葉、運営を続けてきた方々の、地域や訪れる人へのストレートな感謝が伝わってきて、雨模様のことなんてすっかり忘れて見入ってしまいました。

谷和原三万石といわれるこの地域は、昔からの米どころ。
つくばエクスプレスの開業とともに始まったこの取り組みは、今では電車の車窓から眺めるのが一つの楽しみになっています。
みらい平駅から守谷駅方面へ向かう列車の左手に、この景色がパッと広がった瞬間、日常のモヤモヤしたことなんて全部吹き飛んでしまいそうです。
現地には仮設の展望台があるので、ぜひ登ってみてください。
地上で見るのとは全く別世界の、クリアな構図が楽しめますよ。
見ごろは7月上旬から10月頃まで。10月11日(日)には稲刈りイベントも予定されているそうです。
自分の手で収穫したお米、きっと格別の味がするんでしょうね。

最後に、少しだけ実用的なお話を。
場所はつくばみらい市下小目ですが、守谷駅とみらい平駅のちょうど中間あたりで、徒歩だと結構な距離があります。
ここは車での訪問が圧倒的に楽です。
展望台は10人ほどでいっぱいになるコンパクトな場所なので、混雑時は譲り合いの精神でいきましょう。
この時期なら帽子や水分などの暑さ対策は必須です。

今回、実際に足を運んでみて、単に「アートが綺麗」というだけではない、温かい空気感を感じました。
稲が成長する過程で絵が少しずつ変化していく様子は、まさに自然と人の手仕事が奏でる生きた芸術です。
「古瀬の会」の皆さんが平成5年から続けている、こうした都市と農村をつなぐ活動。田植えや稲刈りを通して、誰かが誰かを想う時間が、この風景を作っているのだと思うと、なんだかすごく尊いものを見たような気分です。

ひまわり畑にはフラれましたが、結果としてこの温かな風景に出会えて大満足です。
もしお近くを通ることがあれば、ぜひ一度立ち寄ってみてください。緑の中に浮かぶ「ありがとう」の文字とたんぼう君の笑顔を見れば、きっと皆さんの夏の記憶にも、温かな一本の線が加わるはずですよ。
(了)

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