冬の冷たい空気がふと緩み、土の匂いが湿り気を帯びてくると、私の指先は自然とカメラのシャッターボタンを探し始めます。3月。それは、モノトーンだった世界に、パステルカラーの絵の具を少しずつ落としていくような季節です。
先日、早朝の公園を歩いていると、まだ冷たい風の中に、どこからか甘い花の香りが混じっているのに気づきました。見上げれば、青空に吸い込まれそうなほど鮮やかなピンク色の河津桜。その蜜を求めて忙しそうに飛び回るメジロの羽音を聞きながら、「ああ、今年もまた、命が躍動する季節が来たのだな」と胸が熱くなりました。重いコートを脱ぎ捨てて、軽やかなステップで出かけたくなる、そんな3月の魅力をお届けします。
3月の主役たち。花別・撮影スポットガイド
3月の撮影行脚をよりスムーズに計画できるよう、主役となるお花ごとに撮影スポットを整理しました。それぞれの場所で、その花が最も輝く瞬間を切り取るためのヒントも添えておきますね。
1. 桜(河津桜・はるめき桜・ソメイヨシノ)

3月を通して主役が入れ替わる桜のリレー。品種によって表情が全く異なります。
松戸宿坂川(千葉県松戸市)

川沿いの河津桜。水面を活かした構図が作りやすいスポットです。
高井城址公園(茨城県取手市)

濃いピンクの河津桜。メジロとの遭遇率が高い穴場です。
大野川沿い(茨城県守谷市)

淡いピンクのはるめき桜。目の高さでボリュームのある花を狙えます。
福岡堰(茨城県つくばみらい市)

ソメイヨシノの名所。風のない日のリフレクションは圧巻です。
あけぼの山農業公園・さくら山(千葉県柏市)

山全体が桜色に染まり、広角レンズでの撮影が楽しい場所です。
花桃(ハナモモ)

桜よりも色彩が強く、画面をドラマチックに彩ってくれる春の使者です。
古河公方公園(茨城県古河市)

約2000本の花桃が作り出す桃源郷。どこを切り取っても絵になります。
中川やしおフラワーパーク(埼玉県八潮市)

花桃と菜の花の共演。対比する色彩を贅沢に配置できます。
素盞雄神社(東京都荒川区)

境内の花桃。雛人形などの伝統行事と一緒に季節感を演出できます。
梅(ウメ)

3月上旬、名残惜しそうに咲く遅咲きの梅は、しっとりとした大人の雰囲気を纏っています。
あけぼの山農業公園(千葉県柏市)

遅咲きの白梅。梅園の静かな空気感をクローズアップで。
4. 菜の花(ナノハナ)
春の光を凝縮したような黄色。単体でも、他の花との引き立て役としても優秀です。
利根川堤防(千葉県柏市・我孫子市)

延々と続く菜の花の帯。奥行きを活かしたダイナミックな構図に。
5. 早春の草花(カタクリ)
足元や目線の先に隠れた、愛らしい春の主役たちです。
柏市逆井のカタクリ群生地(千葉県柏市)

斜面に咲くカタクリ。透過光で花びらの質感を強調してみてください。
3月の撮影は、お天気との根競べでもあります。一雨ごとに春が深まるとはいえ、せっかくの桜が散ってしまわないか、私は毎日天気予報と睨めっこしています。皆さんも、開花情報をこまめにチェックして、最高の瞬間を逃さないようにしてくださいね。
(了)

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