この日は、つくばみらい市の「ふれあい花畑」で朝から美しい花々を堪能し、私の心のフィルムは満タン…のはずでした。
しかし、写真家というのは本当に欲張りな生き物で、最高の景色を前にすると、「ああ、この近辺にもう一つ何かあるのでは?」という“別腹”的な衝動が抑えられなくなります。
時計はまだ午前中。当時の空は、一面に厚い雲が広がり、太陽の姿は見えません。
派手な光はありませんが、そのおかげで空気はひんやりと澄み渡り、すべてがしっとりと落ち着いたトーンに包まれています。
この均一な光こそ、色彩を深く描き出すチャンスだ、と前向きに捉えるのが私の流儀です。
記憶を辿ると、「そういえば、あの関東三大堰の一つ、歴史ある岡堰のそばに、広大なコスモス畑があったはず!」という情報が引っ張り出されました。
岡堰は、江戸時代からこの地域の水田を潤し続けてきた重要な用水堰で、茨城百景にも選ばれています。
ただの絶景ではなく、400年の歴史が背景にある場所。
そこに惹かれるのは、私のちょっと堅い性格ゆえかもしれませんね。

期待を胸に車を走らせ、小貝川にかかる「岡堰中の島橋」へ。橋の上から、目当てのコスモス畑を見下ろしました。
……あ〜、コスモス。
「終わってるー!」とまでは言いませんが、正直なところ、賑やかなパーティーは先週で終わってしまった様子。
残っているのは、名残惜しそうに首を垂れる、数少ない花々でした。「先週が見頃のピークだったのかもしれません」という、現場からの静かな「終了サイン」を、私は冷静に受け止めました。

読者の皆様、ここが実践的なポイントです。
岡堰のコスモスを狙う際は、満開時期がかなりタイトです。私のように残念な思いをしないよう、訪問直前にはSNSや地元の情報で「開花状況」を徹底的に確認することが、最高の写真を撮るための最重要ミッションになりますよ。

そして、よくコスモスの後に主役となるススキはどうだったかというと、こちらもまだ「待機中」でした。穂がほとんど開いておらず、撮影の対象としてはまだ地味な状態。
「ああ、西日が当たると、黄金色に輝いて本当に美しいのに!」と過去に見た光景が脳裏をよぎりますが、今回は曇りの午前中。
そのドラマチックな光景は拝めません。
ススキの穂が開いていなかったこともあり、今回はコスモスとススキの撮影は諦め、景色全体を分析的に捉えることにしました。
次回は、必ず満開のコスモスが咲き誇る時期を狙い、さらに、過去の記憶にある「西日に黄金色に輝くススキ」との両立を目指して、綿密な計画を立ててリベンジしたいと思います。皆様もぜひ、この歴史的な岡堰で、ご自身の感性に響く静かな感動を探してみてくださいね。


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