冬の厳しさが身に染みる1月ですが、カメラを片手に外へ飛び出せば、この時期にしか出会えない「静謐な美しさ」があちこちに転がっています。今回は、茨城県南部から千葉県北部、さらには都内まで、私が実際に足を運んで「これは!」と感じた冬の撮影スポットをご紹介します。
論理的に考えれば「寒い日は家でコタツ」が正解なのですが、感情が「あの透き通った光を撮りに行け」と囁くので仕方がありません。
1. あけぼの山農業公園(千葉県柏市)
ここは私にとって、季節の移ろいを確認するための定点観測所のような場所です。
公園に入ってすぐ、右手の斜面を埋め尽くすニホンズイセンの姿が見えると、冬の寒さの中に春の準備が始まっていることを実感します 。1月初旬から咲き始め、顔を近づけると甘く高貴な香りが鼻をくすぐります。
さらに「寒さ」を味方につけるのが、本館前のシモバシラ。植物の茎から氷の結晶が噴き出すこの現象は、氷点下の朝にしか拝めない自然の芸術です。また、風車前の池がカチコチに凍り、中の生き物が閉じ込められた「天然の氷漬け」状態に遭遇することもあります。
冬の朝はバッテリーの消耗が激しいので、カメラと一緒に自分も懐炉で温めながら挑むのが賢明です 。
おすすめ: 氷の造形を狙うなら、冷え込みの強い早朝一択です。
開花: ロウバイは1月中旬、梅は下旬から。焦らずゆっくり楽しみましょう 。

2. 井野天満神社(茨城県取手市)
「花の神社」と呼ばれるここは、まるでお手入れの行き届いたオープンガーデンのような親しみやすさがあります 。
1月下旬、寒紅梅がポッと赤く色づき始めると、階段の両脇にはスイセンが整列して迎えてくれます 。ここで面白いのは、管理人さんが置いてくれる「おもてなしの果物」。それに釣られてやってくるメジロやシジュウカラといった野鳥たちが、最高の被写体になってくれます 。
鳥たちの動きは非常に素早いので、論理的な予測に基づいた待ち伏せと、最後は野生の勘(と連写)が頼りです。

3. 長禅寺(茨城県取手市)
取手駅からもほど近いこの寺院には、見事なロウバイの木があります。
1月中旬、満開の時期に訪れると、冬の静かな境内にロウバイの濃厚な香りが満ちています。七福神の大黒天様に見守られながら、冬の淡い光に透ける黄色い花びらを切り取る時間は、何物にも代えがたい心の洗濯になります。

4. 守谷駅周辺(茨城県守谷市)
花ではありませんが、1月初旬に外せないのが「ダイヤモンド富士」です 。
守谷駅から富士山頂に夕陽が重なる瞬間、駅のデッキには多くの人が集まり、一斉に「きれい!」と声が上がります 。私も以前、電車でうっかり寝過ごして隣の駅まで行ってしまうという大失態を演じましたが、戻ってきた守谷駅で見たあの神々しい夕景には、すべてを許せるほどのパワーがありました 。
5. その他の心躍るスポット
上野東照宮ぼたん園(東京都台東区)
「わらぼっち」に守られて咲く冬ぼたんは、まるで大切に育てられた箱入り娘のよう 。1月1日から開催されており、お正月気分での撮影に最適です。

県営権現堂公園(埼玉県幸手市)
桜で有名な場所ですが、冬は100万株のスイセンが土手を白く染め上げます。

宮山ふるさとふれあい公園(茨城県筑西市)
運が良ければ、ロウバイ越しに冠雪した筑波山を拝むことができます。

冬の撮影は、正直に言って過酷です。指先はかじかみ、鼻水との戦いになることもあります。しかし、厳しい寒さの中で凛と咲く花々や、氷が作り出す一瞬の造形をファインダー越しに覗くと、不思議と背筋が伸びるような爽快感があります。
次なる期待は、これら冬の主役たちがバトンをつなぐ「春の兆し」を見つけること。皆さんも、防寒対策を完璧にして、冬にしか撮れない「静かなる情熱」を探しに出かけてみてください。

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