カレンダーが3月に入ると、写真好きの血が騒ぎ出すのは私だけでしょうか。先日、春の先取りを企んで茨城県守谷市の守谷城址公園へ行ってまいりました。
今回のターゲットは、鮮やかなピンク色がまぶしい河津桜。数日前から「そろそろかな、まだかな」とソワソワし、当日の朝は快晴の空を見上げてガッツポーズ。軽い足取りで現地へ向かったのですが……。

現実は、私の淡い期待を爽快なまでに裏切ってくれました。
公園の堤防沿いに到着して目に入ったのは、ピンクのカーテン……ではなく、なんとも健康的な「新緑」の気配。
そう、お目当ての河津桜はすでにほとんどが散っており、枝先には若々しい葉がニョキニョキと顔を出していたのです。正直に申し上げましょう。現場に到着した瞬間、私の心の中で小さな「終」のテロップが流れました。河津桜シーズンは、完全にエピローグを迎えていたようです。

わずかに花を残した枝もありましたが、全体としては撮影の主役を張るには少し厳しい状況。
主役が「花」から「葉」へと交代していくこの生々しいスピード感。自然界の厳しい(?)シフト表を突きつけられたような気分ですが、これもまた季節の移り変わりを肌で感じる醍醐味です。「河津桜さん、お疲れ様でした」と心の中で労いつつ、園内を奥へと進むことにしました。
落胆して帰らなくて本当に良かったです。園内を進むと、今まさに「俺の出番だ」と言わんばかりに咲き誇る寒緋桜(カンヒザクラ)が出迎えてくれました。
この寒緋桜、河津桜よりもさらに色が濃く、青空とのコントラストがとにかく強烈です。特徴的なのは、その咲き方。恥ずかしがり屋なのか何なのか、花びらが下向きにうつむいて咲くのですね。

このシルエットを活かすなら、グッと近づいて見上げるように撮るのが正解です。花の密度が非常に高いので、ファインダー越しに覗くと、河津桜とはまた違った圧倒的なボリューム感に圧倒されます。

さらに散策を続けると、品種が特定できない「謎の美桜」たちにも遭遇しました。ソメイヨシノよりはピンクが強く、でも河津桜ほど主張しすぎない絶妙なニュアンスカラー。
現地に名札がなかったので正体は不明ですが、そんなミステリアスな出会いも散歩のスパイスです。「君、なんて名前なの?」と心の中で語りかけながらシャッターを切る時間は、意外と贅沢なものでした。
こうした早咲き品種たちは、河津桜が去り、ソメイヨシノが来るまでの「空白期間」を埋めてくれる貴重な存在です。木によって開花状況がバラバラなので、自分だけのお気に入りの一本を探すという、宝探しのような楽しみ方ができます。

ちなみに、トイレの近くでは乙女椿も華やかに咲き誇っていました。桜に負けじと主張するその姿に、春の層の厚さを感じずにはいられません。
現在の守谷城址公園の状況を分析すると、以下のようになります。
河津桜: 終了。葉桜を楽しみたい方向け。
寒緋桜・早咲き種: 今がまさにピーク。撮影するなら今すぐ!
ソメイヨシノ: 待機中。つぼみが着々と準備を進めています。
これからの時期は、早咲き桜のフィナーレとソメイヨシノのプロローグが交差する、非常に面白い移行期に入ります。
目当ての河津桜には振られてしまいましたが、結果として「早咲き桜リレー」の鮮やかなバトンパスを特等席で見ることができました。
同じ場所でも、わずか数週間で主役がガラリと入れ替わる。このスピード感こそが春の魅力であり、私たちが何度もカメラを持って外へ飛び出してしまう理由なのでしょう。次はいよいよ、ソメイヨシノの出番ですね。皆さんも、移ろいゆく春の一瞬を逃さないよう、ぜひ足を運んでみてください。
次は、満開のソメイヨシノの下でお会いしましょうか。


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