小倉イルミネーション2025

今回、東京での出張を終えたその足で、福岡県北九州市へ飛びました。まさに移動日で、バタバタと飛行機を乗り継いで、ようやく着いた北九州空港で弟と合流。久々の顔を見て、ようやく「帰ってきたんだな」と肩の力が抜けた瞬間でした。

その後、真っ先に実家に顔を出し、母の元気な顔を確認。これが私にとっての最重要ミッション完了です。そして、弟と二人、迷うことなく地元のとんこつラーメン店へ突撃しました。あの豚骨の香りが鼻腔をくすぐり、一口スープを啜るだけで、全身の細胞が「故郷だ!」と叫び出す。この儀式を終えて初めて、私は撮影者としての活動を開始できるのです。

とんこつラーメンで胃袋がホッカホカになったところで、いざ夜の小倉の街へ。

運の良いことに、当日は冬の寒さが本格化する前日で、厳しい冷え込みではありませんでした。ラーメンで得た体の熱を、冷たい夜の空気が優しく中和してくれるような、実に心地よいコンディション。コートの襟を立てるだけで十分で、「これは、じっくり撮影を楽しめるぞ!」と、気持ちが高揚していくのがわかりました。

小倉駅周辺から紫川河畔まで、都心一帯が光の装飾で彩られる「小倉イルミネーション2025」。前回来たのはコロナ前の2019年末でしたが、久しぶりに見るこの光の海は、街のエネルギーが爆発しているようで、私の中の感性が一気に刺激されました。

小倉のイルミネーションの魅力を最大限に引き出しているのが、紫川の水面に映る「リフレクション」、つまり反射像です。私はまず、その現象をじっくりと観察することから始めました。川面近くからレンズを向けると、水面に揺らめく光の筋が、まるで本物の街とは異なる「裏小倉」を作り出しているよう。

私はここで一つ、「真理」に到達しました。コメダ珈琲店が反射しているのを見た時、「あのシロノワールまで光り輝くのなら、これはもう冬の小倉の守り神なのではないか?」と。光をまとったコメダの姿に、私は静かに敬意を表しました。

そして、この光の祝祭の中心にあるのが、紫川に架かる「鴎外橋(おうがいばし)」です。

橋全体が純白の光のトンネルになっていて、「白銀の光に包まれる幻想空間」という表現がこれほど似合う場所はありません。

さらに、このトンネルを挟むようにしてそびえ立つのが、高さ11メートルの「ツインツリー」です。
私はここで、このイルミネーションの「設計思想」に思いを馳せました。この二本のツリーの間から、ライトアップされた小倉城の姿が、計算されたように浮かび上がってくるのです。

これぞ、「小倉城を望む特別なシーン」。歴史的建造物である小倉城を背景に、現代の光が織りなすフォトジェニックな構図。この構造の巧妙さに気づいた瞬間、私は「参りました!」と心の中で叫び、寒さを忘れて夢中になってシャッターを切りました。冬の小倉を象徴する、この壮大な景観は、感動と情報の役立ち度を両立させる最高の場所だと断言できます。

鴎外橋周辺に設置された、「ハートオブジェ」も人気の的でした。「光がつなぐロマンチックな瞬間」というコンセプトでしたが、私は一人でカメラを抱えて立っていたため、「私とカメラの熱いロマンスも、この巨大ハートは受け止めてくれるのだろうか?」と、心の中でふざけながら、しかし真剣にレンズを向けました。

さて、皆さんが実際に訪れる際に役立つ「現場の空気感」について、冷静にお伝えします。

残念ながら、私が訪れた日は大変な人出で賑わっていました。「人が少ないだろう」という私の甘い予測は、見事に粉砕されたのです。

その主要因は、2025年11月21日~12月25日まで開催されている「KOKURA CHRISTMAS MARKET」です。紫川沿いはマーケットの屋台と、温かい雰囲気につられて集まった大勢の人でごった返していました。特に週末やマーケット終盤は、主要な撮影スポット(鴎外橋やオブジェ周辺)は、人の流れが途切れるのを待つのが難しいほどでした。

鴎外橋の光だけでなく、紫川全体がエンターテイメントと化しているのがこのイルミネーションのすごいところです。

特に紫川ナイトスペクタクルは圧巻でした。水辺とまちの光が、音楽と響きあって冬の夜空に吸い込まれていくのです。高さ約12mの巨大クリスマスツリーが光に包まれて輝き、川面に映る光のショーと一体となります。周囲の夜空へ向かって放たれるムービングライトが圧巻で、音楽とシンクロして刻々と表情を変える光の演出は、訪れる人々を幻想的な世界へと誘います。

KOKURA CHRISTMAS MARKET & CASTLE小倉イルミネーションと連携し、3つの光のイベントが小倉の夜を鮮やかに彩るこの連携プレーには、都市計画のプロモーションとしての意図と、エンターテイメント性の両立が見事に果たされていると、感心しきりでした。

メインスポットから視線を上げると、ライトアップされた小倉城の姿が、闇夜に浮かび上がり、非常に幻想的でした。歴史の重みを感じさせつつ、現代のイルミネーションと共存するその姿は、この街の懐の深さを物語っているようです。

また、都心部一帯の商業施設も負けていません。

リバーウォーク北九州のクリスマスツリーは、高さ15mのツリーをはじめ、全館に約33,000球の光が灯り、館内を幻想的に彩っていました。ここでは、雪だるまのフロスティが大切なものを見つけるまでの6つのストーリーが楽しめるとのこと。大切な人と笑い合える、素敵なクリスマスを願う、心からの願いが込められているのが伝わってきました。

小倉井筒屋のイルミネーションも華やかです。LED電球約3万個を使い、新館正面の壁面を装飾。ピンクのハート型イルミネーションやトナカイとサンタのソリのフォトスポットが登場しており、こちらはさらに可愛らしい雰囲気に包まれていました。

どこを歩いても、光が織りなす物語に触れられる、まさに街全体がテーマパークのような夜でした。

全ての撮影を終える頃に、光のトンネルとツインツリーの奥に浮かぶ小倉城を、望遠レンズでギュッと引き寄せて切り取りました。遠くの歴史と手前の現代の光が凝縮された一枚は、今日一日で感じた、東京から地元へ帰ってきた安堵感と、街の活気への感動を象徴しているようでした。

仕事の移動日という忙しい一日でしたが、家族の温もりと故郷の味、そしてこの美しい光景に出会えたことで、心まで温められるような「ほっとする時間」を過ごすことができました。

小倉イルミネーションは、ただ美しいだけでなく、アクセス(JR小倉駅周辺から紫川河畔一帯)が非常に良く、開催期間も2025年11月21日から2026年2月15日までと長いため、冬の旅のプランに組み込みやすいのが大きなメリットです。点灯時間も基本的に17時から22時(一部23時まで)と、たっぷり楽しめます。

まちが動き出すとき、ヒカリはあふれる。北九州・KOKURA、今輝きの中へ。」

この光景が、また私を故郷へ呼んでくれるでしょう。次回は、もう少しゆっくりと、この光を肴に弟と一杯やりたいなと、強く次の訪問を心に誓っています。皆さんもぜひ、小倉の輝きに触れて、特別な冬の夜を体験してみてください!

コメント

たったのあーもん新着記事

タイトルとURLをコピーしました