茨城県取手市にある高井城址公園を訪れてきました。まだ2月下旬ですが、早咲きの花々が冬の眠りから覚めようとしていて、私の心も一緒にワクワクと跳ねるような、そんな一日でした。
都内では河津桜が見頃だというニュースを耳にしますが、利根川を渡った北の大地はどうなっているのでしょうか。そんな好奇心に突き動かされ、私は車を走らせました。向かったのは、人気が少なくて、まるで自分んちの広い庭にでも迷い込んだかのような錯覚を覚える場所。そう、高井城址公園です。

公園に足を踏み入れると、まずは梅の木が出迎えてくれました。開花状況は3分咲きといったところ。しかし、視覚的な物足りなさを補って余りあるのがその香りです。冷たく澄んだ空気の中に、ふわりと甘い香りが漂っていて、思わず深く深呼吸をしてしまいました。鼻腔をくすぐる春の先触れに、論理的な私の脳も、この時ばかりは情緒的な喜びを優先せざるを得ません。

かつての城郭の中心部、現在のさくら広場を目指して坂を登っていきます。道中、カサカサと音を立てる笹の葉が茂り、少しばかりの冒険気分を味わわせてくれます。

足元に目を向けると、そこには雪割草の姿が。「さすがにこの時期にはまだ早すぎるだろう」と自分に言い聞かせつつも、期待を捨てきれないのが人間の性というものです。すると、期待に応えるかのように、たった一輪だけ、今まさに花を開かせようとしている健気な個体を見つけました。

見てください、このまぶしいほどのピンク色。周囲の枯れ色の中で、そこだけが生命のエネルギーを放っているようです。「おやおや、もう咲いていらっしゃるんですか」と、心の中で丁寧かつ少しばかりお節介な声をかけてしまいました。

広場に到着すると、そこには河津桜が待っていました。分析してみると、太陽の恩恵をたっぷり受けている枝は3分咲き、一方で日陰側はまだ蕾が堅く、守りを固めている様子です。

これはある意味で非常に効率的な咲き方と言えるかもしれません。日陰の木が遅れて咲くことで、全体としての見頃が長続きするからです。おかげで、長く春の訪れを楽しめそうですね。鮮やかな河津桜の下を歩いていると、五感が「春ですよ!」と騒ぎ始めます。

特に美しかったのが、竹林を背負った河津桜の姿です。花の繊細なピンクと、背景でしっとりとボケた竹林の深い緑。この対比は、計算された美学すら感じさせます。

足元をさらによく観察すると、水仙がところどころで控えめに咲いていました。

そして、蝋梅は見事な見頃を迎えていました。あの独特の透き通った黄色と、濃厚な甘い香りは、冬の終わりを告げる最高の演出家です。
高井城址公園は、有名な観光地のような喧騒とは無縁で、ゆったりとした時間を独占できる、まさに大人向けの穴場スポットです。花のボランティアの方々が心を込めて管理されているのでしょう、手入れが行き届いた園内は、歩いているだけで心が整っていくような心地よさがあります。
2月下旬のこの時期、梅と河津桜の競演、そして水仙の彩りを一度に楽しめるのは贅沢の極みです。ただし、城址ゆえに道が少し狭い箇所や、傾斜がある場所も存在します。ハイヒールなどで攻め込むのは賢明な判断とは言えませんので、ぜひ歩きやすい靴でお出かけください。また、近隣を流れる小貝川でのサイクリングと組み合わせれば、完璧な休日プランの完成です。
取手市周辺にお住まいの方はもちろん、春の気配を求めてドライブを計画している方にも自信を持っておすすめします。私はといえば、次はさくら広場が満開に染まる頃、必ずやリベンジに訪れたいと密かに誓いました。


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