私が葛西臨海公園を訪れたのは、夏の光と色をカメラに収めたいと思ったからです。
葛西臨海公園駅を降りると、案内の矢印に沿って歩くだけで迷わず目的地にたどり着けます。
しかも入場は無料で、東京の夏は入り口から全力で迎えてくれるようです。
公園の東エリアと西エリアに広がるひまわり畑は、ちょうど見頃を迎えていました。
中でも観覧車の足元、約3,800㎡にわたる4万本のひまわりは、黄色い海が地平線まで広がるかのようで、一歩足を踏み入れただけで視界いっぱいに花の波が押し寄せます。
そのスケール感に、思わず笑ってしまいました。私は夢中でシャッターを切り続け、気づけば時間を忘れていました。
昼間はひまわりと観覧車が主役です。少ししゃがんで花越しに観覧車を入れると、夏の記憶がそのまま一枚の写真に閉じ込められたようになります。
逆光を利用したり、花の密度を計算して構図を決めたり、論理と感性を両立させるのが私の撮影スタイルですが、この場所ではどれだけ理屈をこねても、ひまわりのパワーがすべてを凌駕してしまいます。
日が暮れると、「花と光のムーブメント」が始まります。
18時から20時半まで、観覧車と花畑は光のベールをまとい、昼間とはまったく異なる表情を見せます。
昼の元気さと夜の幻想的な輝きのコントラストは、この公園ならではの魅力です。
訪れた日は、ソニアは終わりを迎え、バレンタインがちょうど見頃、復興ひまわりは見頃直前。
複数のひまわり品種が順に咲くため、訪れるタイミング次第で「一斉満開」を狙うこともできます。
青空が少なめで雲が優勢だったこの日、むしろ柔らかい光が花びらの質感を優しく引き立ててくれました。
ひまわり畑での撮影をひと段落させ、私は葛西海浜公園へ向かいました。
看板には「海水浴体験エリア」と書かれており、少し首をかしげました。
海で泳ぐことに“体験”という言葉をつけるのはなぜでしょう。
安全面への配慮か、それとも遊び心でしょうか。ライフセーバーたちの目の前で波と戯れる子どもたちの姿を見ながら、東京ゲートブリッジを背景に写真を切り取ります。
真夏の海らしい爽やかさと安心感が同居する光景は、まさにここでしか出会えない瞬間です。
このひまわり畑は、カメラ初心者でもベテランでも、訪れたすべての人を夢中にさせる魔法の場所です。
失敗写真でさえ、夏の思い出として笑ってしまえるでしょう。
私は水分を補給しつつ、次のシャッターのタイミングを探します。
夏の光と風が私を包み込み、ひまわりたちはまるでその思いを受け止めるかのように揺れていました。
思い立ったら、カメラを手に、足取り軽く出かけてみてください。
葛西臨海公園は、東京の夏を丸ごと切り取る一枚を、そっと差し出してくれます。
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