今年も懲りずに科学万博記念公園のイチョウ並木にやってきました。
昨年は「ああ、一週間遅かった!」と、落ち葉と後悔の念にまみれて帰った経験を踏まえ、今年は私なりの緻密な(ええ、私なりに、です)分析に基づき、昨年より一週間早く出かけるという完璧なロジックを組み立てたわけです。
これで今年は満を持して最高の黄金色をカメラに収めるぞ、と朝から意気揚々でした。

ところがですね、公園に到着してまず驚いたのが、駐車場の満杯具合です。
え?何があったんですか?昨年はガラガラで「穴場じゃん!」とほくそ笑んでいたのに、今年はまるで人気テーマパークの開園直後かと思うほどの混みっぷり。
私の”穴場センサー”がとうとう世間のブームに追いつかれたのか、それとも寿命を迎えたのか…。
朝の清々しい空気の中、私の鼻腔をかすめたのは、銀杏の香りと、ちょっぴり諦めの予感でした。

そして肝心のイチョウ並木へ。昨年より一週間早い、はずでした。
が、結果から先に申し上げますと、今年もまた一週間遅かったようです。
この「なぜか毎年、見頃を逃す私」現象、誰か研究テーマにしてくれませんか?
並木の木々は確かに黄色いのですが、地面に敷き詰められた落ち葉は、まるで誰かが上をローラーで踏み荒らしたかのように、見事に「粉々」になっていました。
私が求めていたのは、ふかふかで厚みのある黄金色の絨毯であって、この乾燥した黄色い破片のモザイクではないのです!
落ち葉を踏むときの「サクッ」という音ではなく、「パリパリ、ジャリジャリ…」という音に、私の気分も一緒に削られていくようでした。

到着した直後は、まだ青空が少し顔を出していたんです。
「よし、この青を背景に、残っている葉を逆光でキラキラ撮ろう!」と、残された可能性に賭けました。
しかし、世の中そんなに甘くありません。
私がレンズを構え始めた途端、空は意思があるかのように雲に覆われ、太陽は完全に隠れてしまいました。
葉を透かすという最後の望みも、あっけなく消滅です。私の撮影意欲は、みるみるうちにどん底へと落ちていきました。

撮影意欲がどん底に落ちていく中、さらに追い打ちをかける出来事が起こりました。
イチョウ並木の通路、ここを通行する皆さんのメインストリートで、ある集団が、まるでそこにスタジオを建てたかのように、通路を完全に占拠しての撮影を始めたのです。
私が滞在していた45分間、彼らは微動だにせず、通路の真ん中に居座り続けました。
もちろん、子どもやペット、自撮りなどで数分間立ち止まることは「あるある」なので、私も「まあ、数分なら仕方ないかな」と待てます。
でも、45分間です。通行を遮り、他の方の邪魔をしているという認識がないのでしょうか。

集団なので誰も何も言えない、という空気は、その場にいた誰もが感じていたと思います。
ここを通る家族連れや散歩、ランニングの方々は、冷ややかな視線を一瞬向けた後、そっと横の芝生の上を迂回して行かれました。
あの無言の圧力は、まさに「迷惑行為」に対する静かなる抵抗だったように感じます。
昨年も外国の方々がベッドを置いて占拠していた光景を目にしましたが、公共の場所での撮影マナーについて、私も一カメラを愛する人間として、深く考えさせられる出来事でした。
カメラは素敵なツールですが、他者に迷惑をかけてまで使うべきではないというのが私の明確な主張です。


結局、作品になりそうなカットは一つも撮れず、気分は最悪。「これ以上ここにいても、無駄に時間と嫌な感情を募らせるだけだ」と判断し、私は潔く(というか、半ば強制的に)撤退を決意しました。
うん、この素早い判断力だけは褒めてあげたいです。

さて、私の毎年恒例のルーティンがあります。
科学万博記念公園でイチョウを撮った後には、必ず「ガトープーリア」さんに寄って、「つくばエクレア」を買って帰るのです。

例年、撮影時間が長引いてお店に着くのが遅くなり、「つくばエクレアが売り切れ!」という悲劇に見舞われることがあったのですが、今回は撮影を早々に切り上げたおかげで、なんと開店前に余裕で到着することができました!
不幸中の幸いとはこのことです。
神様は私を見放していなかった。
そして、その幸運を逃すまいと、私も気合を入れて並びました。
開店後も行列は続き、結局1時間以上は並んだでしょうか。
無事に「つくばエクレア」と、ついでに期間限定の「やきいもカスタード」をゲットして帰宅しました。

家に帰って早速エクレアタイム。やっぱり「つくばエクレア」は美味しい!あの濃厚なカスタードとサクサクのシュー生地のバランスは最高です。
一方、期間限定の「やきいもカスタード」は…正直に言います、私の口には合いませんでした。ごめんなさい。
でも、いいんです。
大好きな「つくばエクレア」を頬張ったら、公園での嫌な出来事も、撮影失敗の悔しさも、まるっと忘れることができました。
私の感情のスイッチは「美味しいもの」で即座にリセットされるようです。つくばエクレア、ありがとう。
今回の体験で改めて感じたのは、自然の美しさの尊さ、そして公共の場でのマナーの大切さです。
科学万博記念公園のイチョウ並木(つくば市御幸が丘にあります)は、ベビーカーも利用しやすい平坦な遊歩道で、芝生広場やベンチもあるため、家族連れや散歩には本当に最適な場所です。イチョウ並木は園内に2ヶ所あり、落葉の絨毯が広がる風景は確かに圧巻です。
そして何より、あの場所を訪れる全ての方に、公共の場でのマナーをお願いしたいです。
通行の妨げになるような長時間の場所の占拠は、撮影を楽しみに来ている私たちカメラ愛好家にとっても、純粋に散歩に来た一般の方にとっても、悲しい気持ちしか残りません。
美しい景色は、皆で気持ちよく共有したいものですよね。
来年こそ、私だけのベストなタイミングを見極め、ふかふかの黄金色の絨毯に青空という最高のコンディションで、リベンジを果たしたいと思います!
その時のための分析と準備を、今から始めることにします。その時まで、しばしのお別れです。


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